オーディオのレビューで使われる謎用語【ポエム?】

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音の良し悪しを表現するのは難しい

オーディオ機器のレビューというのは、「良かった」「気に食わなかった」という結論だけで終わらせるだけでは味気ないので、多くのレビュワーがそれぞれ自由・個性的な表現で製品を紹介するのが通例です。

聴覚で得られる印象を言葉で表現するというのは非常に難しく、他人が書いたオーディオ機器の評価というのは、しばしば大げさに見え、疑わしく、結局のところ 自分で聴いてみないと分からないというのが自明の理です。

ワイン通のレビューなども同じようなことが言えましょう。

 

例えば、以下を読んでみてください。

頭の中に澄み渡った空間ができ、その中を音楽の音の粒キラキラ踊る
今まで聴き慣れた曲も、新たに命を与えられたように生き生きと旋律を奏でる。
素晴らしい音です。

 

どうでしょうか? けっこう極端な例ですが。
褒めているのは分かりますけど、ただ冗長なだけで具体性・客観性がなく、妄想の世界です。

レトリックと言えば聞こえはよいですが、これはただのポエム

 

では、こちらはどうでしょうか。

低域解像度は少し弱め。中高域解像度が高く、レンジ高域方向へよく伸びます。音場はやや狭くてスピード感は速めなのでタイトな感じです。

なるほど、上の例よりはマシで、より分析的な記述ですが、各用語をどういった定義で語っているのかが分からないので、明確な判断材料になりません。

 

たとえオーディオマニアや業界人(プロ)のレビューだとしても、定義が不明確な詩的表現を並べた内容にしかなっていないのであれば、それはレビューというよりはオーディオ・ポエム

…とまあ、そういったことを思った経緯があり、
少なくとも自分が思う各用語の定義を記した方が良いと思ったので、簡単にまとめることにしました。

随時更新するかも。

音圧

圧力という意味ではありません。

イヤホンやヘッドホンにおける音圧とは出力音圧レベルのことです。
プレイヤーの音量を一定にした条件で、相対的に音量が大きく聞こえるか、小さく聞こえるかということです。
一定のエネルギーで、どれだけの音量が出せるのかという能率のお話。

final E4000などのように、メーカーが意図的に音圧を下げている場合もあるので、音圧が高い=良い製品の図式は常に成り立ちません。

たまに「音圧が高めで迫力が」とか、「音圧が高くて疲れる」みたいなレビューを書いておられる方がいますが、
音量が大きければ迫力があるのは当然ですし、疲れるなら音量を下げればよいだけですから、おそらく「圧迫感」のつもりで言っているのだと思います。誤った例ですね。

解像度、分解能

もともと映像用語で、1インチあたりに収まるドット数(画素数)のこと。

解像度

Image: www.paper-bag.jp

解像度が高い とは、画像や映像などの「画素数が多い」 こと。
高精細と言い換えてもよい。ドットの粒が多いほど滑らかに、リアルに、ハッキリと見える。

ハイレゾ」も解像度が高い事を意味するので、本来は高精細に描写されたさまを指します。

では、音における解像度 とは?
一言でいえば、「明瞭さ」を言い換えた表現と言えましょう。
繊細さと言ってもよいでしょう。これは音楽の美しさ、心地よさなどの印象にもかかわります。

音の解像度
音における解像度の評価イメージ

ちなみに、解像度分解能は同じ意味。

僕個人的には、音の解像度が「高い」=高性能と言って差し支えないと思いますが、
音の素晴らしさとは必ずしもイコールにはならないと思っています。
また、一曲の音楽の中でも、解像度が高い方が聴きごたえがある箇所と、逆に鬱陶しく余計に感じる部分がある場合もあります。

音場

定位感にも非常に近い言葉。

スピーカーの場合は、部屋の中で設置する場所(距離)や角度によって響き方や聴こえ方が変わります。

音場のイメージ

音場とは、距離感残響感などの空間的・三次元的な感覚をまとめて表現している言葉と言えましょう。

 

イヤホンにおいては、耳の中の固定された場所から音を出しているので、本来は音場という概念を適用できません
ただし音の響きは機器ごとに特性が異なるので、聴こえてくる音の距離感を疑似的・比喩的に音場と呼んで表現する人がいます。

他の用語と同様にこれも主観に強く左右される要素であり、レビューする人が具体的に何を「音場」と表現しているのか定義がはっきりしないことが多いのが実情かもしれません

ステレオ(左右)の感覚は音量のみで決まりますが、立体的・空間的に表現されるということは細工されている状態(良くも悪くも聴覚を騙している状態)と言えますので、原音忠実とは相反する概念ですね。

スピード感

これは…意味不明です。音の速度は物理的に一定ですので、速度という意味では無いという事は確かですが。

この用語を使っている人の文脈を色々読んでいると、主にベースやキックに関してのアタック感とかタイトさと同じ概念のようです。次に説明する「立ち上がり」とも強く関係します。

例えば、バスドラムなどで「ドッ」という、リズム音があったとします。

それを「ドッ」と歯切れよく鳴らせるか、それとも「んドォッ…」と微妙に余韻が感じられるか、という違い。
前者を相対的に「スピード感がある」と言います。

つまり、「スピード」とか関係ない

機器によってバスドラムや低音の音色が違って聴こえる事は確かにあるけど、それは単に低音が得意・不得意という風にくくればよいだけであって、スピード感とかいう謎の用語を使う必要性は特にないと思う。

「電気信号が発生してからケーブルを通り、ドライバーが鳴らして、皮膜が振動し…鼓膜…その速度が…」といった様な感じで解説をする人が世の中にはいるようだが、僕にとっては残念ながら意味不明。

立ち上がり

これもスピード感と同じように、なかなか意味不明です。

オーディオレビューでいう「音の立ち上がり」がそもそもどの曲の、どの部分を指しているのかという問題もありますが、
たとえばギターの「ジャラーーン」というコード演奏の「ジャラ」の部分を指しているのだとしたら、それが「良い」とか「悪い」というのは一体どういう意味なんでしょうか。

音の立ち上がりは演奏者や歌手の技量とか録音、ミックスの仕方で決まるものなので、「立ち上がりが良い/悪い」というのは、歌手や演奏者、聴いている曲そのものの評価でしかないと思います。

僕は歌は下手ですが弦楽器の心得が少しだけあるので、ギターなどにおける「立ち上がり」という感覚が存在することは理解できます。演奏方法の微妙な変化で、音にも変化がみられるのは当然のことです。
しかし、すでに録音されたものの印象が変わるとすれば、それはエフェクト的な細工か、全体的な音質の違いくらいでしょう。「立ち上がり」部分だけを表現する特性などがあるとは到底思えません。

歌や発声、楽器の鍛錬や演奏をしたことがない人の、妄想かもしれません。

エージング

長期の通常使用や、ピンクノイズなどを長時間流し続けることで音質が変化(改善)すること。

オカルト用語の筆頭ですが、物理的な変化として音の雰囲気が変わってくるというのはあり得る話なので、これはどちらかと言えばやや現実味がある方です。

長期使用によって機器が経年変化することは理解できますが、個人的な使用において見られた変化を、さも普遍的な性質と言わんばかりに「この製品にはエージングが必要」とか書かれているレビューがたまにあります。
自分の耳が製品の性質に適応しただけなのかどうかの検討が省かれているケースの方が多いようです。

エージングで悪化した話はあまり見ないので、「エージング=改善方法」として認識している人が多いかもしれないですね。
また、そう仮定するならば、多くの “エージングで改善” レビューはプラシーボ(思い込み)の可能性があり、思い切って無視するのも賢明な判断といえます。
※エージングについて、僕個人は否定的ではありません。製品や使い方による、としか言えないので肯定はしづらいのですが。

コメント

  1. 山田 より:

    音の立ち上がりはトランジエントまたはトランジェントと言われる、パーカッションやスネア、アタック時に良く聞こえる「ッ」です。切れがいいとか、歪みと間違われて刺さる音成分。全域の切れと言われる成分です。サ行やタ行で出てしまうこともあります。

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