エイジングで音質は良くなる?各社の見解は?

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あなたはエイジング肯定派ですか?

イヤホンやヘッドホンを購入した後、音楽やノイズ音を長時間流し続けたりして、音質の安定化や向上を図る、いわゆる慣らし運転のような作業のことを

『エイジング』

と言い、特にオーディオマニアの間では音質に関する話題に上がりやすいですよね。

製品や個体差もあるためどのような効果があるかは一概には言えず、体感の有無や技術的な解説も人によりけりのためオカルト性があるということで、

しばしば肯定派否定派に分かれる概念とも言えます。

今回は、エイジングについて各オーディオ機器メーカー、ブランドが公式に見解を掲載している内容があるかどうかを確認してみました。

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オーディオテクニカ(日本)

ヘッドホン選びのガイドページで、以下のように明記している。

購入後に行なうこと:エージング
エージングとはヘッドホンの慣らし運転のことです。購入直後のヘッドホンは、それぞれの部品が新しくなっています。慣らし運転をすることでドライバーユニットがこなれていきます。エージングには専用のCDを使用するなどさまざまな方法がありますが、普段聞いている曲を少しだけ大きめの音量で長時間流すのが一般的とされています。

引用元: https://www.audio-technica.co.jp/headphone/navi/whatis/09.html

また、用語集にも記載がある。
エージング(慣らし)

購入直後のヘッドホンは、それぞれの部品が新しくなっています。さまざまなジャンルの音源を、毎日少しずつでも流しておく(慣らし)ことでドライバーユニットがこなれていき、クセのない音へと熟成していきます。

引用元: https://www.audio-technica.co.jp/headphone/navi/dic/index.html

 

ゼンハイザー

ゼンハイザー
Image: www.amazon.co.jp

ゼンハイザーのサイトでは以下のように説明されている(意訳)。
一般論ではなく、あくまで自社の製品に関する説明ですね。

ゼンハイザーの「エイジング」理論に対する姿勢は?
ゼンハイザーでは、ヘッドフォンを「エイジング」する必要があるという理論に関する公式な見解がありません。
ゼンハイザーのヘッドフォンは、初めて使用する瞬間から素晴らしい音を奏でるように設計されているからです。

時間の経過によって、ユーザーは特定のヘッドフォンに次第に慣れていくのだと主張する人もいます。
これにより、ヘッドフォンが作り出すことができる周波数レスポンス範囲とニュアンスの多くが認識され始めます。
つまりこの論理は、時間が経つにつれて、そのヘッドホンに何ができるのかを深く理解するようになることを示唆しています。

引用元: https://en-us.sennheiser.com/what-is-sennheisers-stance-on-burn-in-theory

また、日本向けのブログでは以下の様に書かれている。
ユーザーの意見のような書かれ方ですが、公式ブログの記事です。

ヘッドホンにはエージング効果というものがあり、
音楽を流せば流すほど音質が良くなります。
購入当時の音質と比べて三年使ったヘッドホンの音質はまるで違うと思います。

引用元: http://www.sennheiser.co.jp/pss/blog/063.html

final

日本メーカーで、新進気鋭ブランド final。
final E3000
Image: www.amazon.co.jp

エージングとは、ある一定の時間、使用を続ける事で音に変化をもたらす現象の事です。
音を出すドライバーユニットは、熱で成形した極めて薄いフィルムが振動する事で音を出してます。
その原因は明確ではありませんが、フィルムが成形される際に加わったストレスや接着剤によるストレスが、使用を続けている間に馴染み、微小信号の際動きやすくなるのではないかと考えられます。
本製品については、小口径であるため、エージングの変化がわかりにくくなるまでには長めの時間が必要です。概ね150~200時間程度、通常の使い方をして頂けましたら、繊細さが増し、本来の設計意図の音質になります。

※エージングにより、音質が良くなるという原因を明確に特定できていないため、今までエージングについて明示する事はありませんでした。
現象は以前より確認しており、お客様からエージングについてのご質問を多く頂くため、見解を述べる事にいたしました。

引用元: http://snext-final.com/products/detail/E2000C.html

 

公式Twitter では以下のようにも発言していて、興味深いです。

 

Shure

モニターイヤホンなどを手がける Shure はサポートページにQ&Aを用意している。
あくまで自社製品について語っているものです(意訳)。

Q. Shure イヤホンをエイジングする必要がありますか?

A. Shure イヤホンはエイジングを必要としません。
イヤホンなどの小型ドライバの場合、ダイアフラムは通常の信号で 1/1000インチほどしか動きません。
エイジングによってコンプライアンスに影響があるかと言われると疑問があります。
聴こえ方は主観的なものなので、新しいものと使用済みのものとを比べた時に、人によって違った聴こえ方に感じることはあるでしょう。

引用元: http://www.shure.com/americas/support/find-an-answer/burning-in-earphones-or-breaking-in-earphones

Shure 製品については、モニターとして使うのが基本だと思うので、むしろエイジングで音が変わっては困る、という見方もできます。

⬇ ダイアフラム(振動板)の例 

Sony MDR-NC300D
コンプライアンス とは可動性、追従性などの意味で、
要するにダイアフラムがどのくらい振動できるか ということ。

ハイ・コンプライアンスと言うと、振動板が振動しやすい事を意味し、臨場感や重低音が出やすくなります。
ちなみに、「肺コンプライアンス」 は肺の膨らみやすさを意味するらしい。

総論、僕の考察

ここまで見てきたように、
「音が良くなる」と明言しているメーカーがあれば、

「そうは思えない」と言うメーカーもある。

また、小口径だと変化が小さい、または体感できるようになるまで時間を要する可能性ありという話から、イヤホンよりはヘッドホン、スピーカーの方が比較的エイジングの話題を出すのに相応しいのかもしれない。

今回の記事をまとめてみた個人的な印象としては、
たとえば「経年変化」という言葉があるように、時間の経過によって音の性質が変わると言うことはあり得ますが、すべての製品・個体において同一の変化であるという保証は無く、使用環境や頻度、連続使用時間など様々な要素から影響を受けるものと思われます。

経年劣化」する場合もあり得るし、経年熟成」する場合もあり得る事になります。

長い期間に渡って同じ製品しか使わないという事は一般にあまり無いだろうから、いろいろなものを使っているうちに、久々に使用した製品の印象が変わって見えるのは自然なことです。

プラシーボによって「良くなった」と感じる場合もあるでしょう。

「良くなったと思いたい」という潜在意識が影響することだって無いとは言えません。

製品レビューにおいての「エイジングで音が良くなった」という一文は、ある意味ではどの製品にも共通のことであり、一方でその人だけのストーリーかもしれず、良くなるまでに厳密に何時間、どのような環境で仕様して来たのか分からず、プラシーボをどの程度考慮しているのか(=客観性)も分からないのです。

つまり、経年変化(エイジング)に絡ませたレビューは、その製品の性能のレビューとは言い難いかなって思います。

レビューとしては、日々色々な製品を使用(試用)している人が語る「第一印象」が一番信用できそうかな。

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